○赤穂市男女共同参画社会づくり条例
平成17年3月25日
条例第6号
男女にかかわらず、すべての人が平等であり、個人として尊重される社会をつくることは、私たち市民の共通の願いである。
赤穂市はこれまで、国際社会や国内の動向を踏まえ、男女共同参画の推進に向けて様々な取組を進めてきた。しかしながら、今日においても、社会のあらゆる分野で性別による固定的な役割分担の考えが根強く残り、個人の能力や個性、適性に応じた自己実現の機会が妨げられている状況がある。
一方、少子高齢化や家族形態の多様化など、市を取り巻く環境は急速に変化しており、こうした変化に適切に対応したまちづくり、人づくりが強く求められている。
このような状況を踏まえ、市民一人ひとりが性別にかかわりなくあらゆる分野に対等に参画できる機会を確保し、共にその人権を尊重しつつ責任も分かち合う男女共同参画社会の早期実現をめざしていく必要がある。
ここに私たちは、市、市民及び事業者が協働して男女共同参画社会を実現し、真に豊かで活力ある赤穂市をめざし、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進し、性別にかかわらず市民一人ひとりの個性と能力が十分に発揮できる男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画社会 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によつて社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もつて男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を分かち合う社会をいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会における男女間の格差を改善するため必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 事業者 市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体をいう。
(4) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の生活環境を害し、又は性的な言動に対する相手方の対応によつて、その者に不利益を与えることをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画社会の形成に当たつては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることを考慮し、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするよう配慮されなければならない。
3 男女共同参画社会の形成は、男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画社会の形成は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、職域、地域等における活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
5 男女共同参画社会の形成に関する取組は、国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、国際的協調の下に行われなければならない。
6 男女共同参画社会の形成は、男女が互いの性を理解し合い、妊娠、出産その他の性と生殖に関する事項について、双方の意思が尊重されること及び生涯にわたり健康な生活を営むことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に従い、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を策定し、実施する責務を有する。
2 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するに当たり、市民、事業者、国、他の地方公共団体及び関係団体と相互に連携と協力を図るよう努めるものとする。
3 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講じなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成に努めるとともに、市が行う男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動に関し、基本理念に基づき、男女共同参画社会の形成に努めるとともに、市が行う男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第7条 何人も、社会のあらゆる場において、性別による差別的取扱いを行つてはならない。
2 何人も、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントを行つてはならない。
3 何人も、家庭等において、配偶者等に身体的、精神的又は性的な苦痛を与える暴力的行為を行つてはならない。
(情報表示に関する留意)
第8条 何人も、広報、報道、広告等において、性別による固定的な役割分担及び暴力を助長する表現並びに性的感情を著しく刺激する表現を行わないよう努めなければならない。
(基本計画)
第9条 市長は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、基本計画を策定するに当たつては、市民及び事業者の意見を反映することができるよう適切な対応を行うものとする。
3 市長は、基本計画を策定するに当たつては、第22条第1項に規定する赤穂市男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。
4 市長は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
(調査研究)
第10条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を効果的に実施するため、必要な調査研究を行うとともに、その成果を公表するものとする。
(年次報告)
第11条 市長は、基本計画の推進に関する主要な施策の実施状況について年次報告書を作成し、公表するものとする。
(家庭生活における活動と他の活動との両立支援)
第12条 市は、男女が共に協力して、家庭生活における活動と地域、職域等における活動とを両立することができるように、子の養育及び家族の介護等に対して必要な支援を行うよう努めるものとする。
(市民等の理解を深めるための活動)
第13条 市は、男女共同参画社会の形成の促進について、市民及び事業者の理解を深めるため、広報、啓発等の必要な活動を行うものとする。
(教育及び学習の推進)
第14条 市は、男女共同参画についての関心と理解を深めるため、幼児期からの学習を支援するとともに、家庭教育、学校教育、社会教育等のあらゆる分野において必要な対応を行うものとする。
(市民及び事業者の活動への支援)
第15条 市は、市民及び事業者が男女共同参画社会の形成の促進に関して行う活動に対し、情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
(付属機関等への積極的改善措置)
第16条 市は、審議会その他の付属機関等における委員を委嘱し、又は任命する場合には、男女の数の均衡に配慮するよう努めるものとする。
(事業者への働きかけ)
第17条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画の取組状況に関する調査について協力を求めることができる。
2 市は、男女共同参画社会の形成に関して積極的な取組を行つている事業者を表彰し、その取組を公表するものとする。
(苦情の申出への対応)
第18条 市長は、市民又は事業者から次に掲げる苦情の申出を受けた場合は、適切に対応するよう努めるものとする。
(1) 市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情
(2) 市が実施する施策で男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められるものについての苦情
(相談の申出への対応)
第19条 市長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因による人権の侵害に関し、市民又は事業者から相談の申出があつた場合は、関係機関等と連携協力して、適切に対応するよう努めるものとする。
(推進体制)
第20条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を円滑かつ総合的に推進するため、必要な推進体制を整備するものとする。
(拠点の整備)
第21条 市は、男女共同参画社会の形成に向けた施策の実施と、市民及び事業者による男女共同参画社会の形成を促進させる取組を支援するため、拠点の整備に努めるものとする。
(男女共同参画審議会)
第22条 市長の付属機関として、赤穂市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事務を行う。
(1) 諮問に応じ、基本計画及び男女共同参画社会の形成の促進に関する重要事項を調査審議し、意見を述べること。
(2) 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況について意見を述べること。
(3) 諮問に応じ、第18条第1項に規定された苦情に関して意見を述べること。
3 審議会は、委員10人以内で組織し、男女いずれか一方の委員の数は、委員総数の4割未満であつてはならない。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
5 欠員による補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委任)
第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
(平成17年規則第38号で平成17年7月1日から施行)